学校法人 稲置学園 規程集(大学院・大学)

トップページに戻る
最上位 > 第1編 法人 > 第3章 学術・研究
学校法人稲置学園における研究活動上の不正行為の防止及び対応に関する規程
第1章 総 則
(目 的)
第1条 この規程は、学校法人稲置学園(以下「法人」という。)における研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応について必要な事項を定める。
(定 義) 
第2条  この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)「研究活動」とは、研究計画の立案、実施、成果発表及び評価等、研究に関するすべての 活動のこと
(2)「研究費」とは、科学研究助成事業を含む政府機関、独立行政法人、地方公共団体、企業、特殊法人等から配分される競争的資金及び受託研究費、並びに法人の責任において管理されるべき資金のこと
(3)「研究者等」とは、法人に雇用されている者及び法人の施設や設備を利用している者のうち、前号の資金を用いた研究に従事している者又は携わる者
(4)「不正行為」とは、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる次の行為をいう
① 捏 造:存在しないデータ、研究結果等を作成すること 
② 改ざん:研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって      得られた結果等を真正でないものに加工すること 
③ 盗 用:他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること  
④ 研究費の不正使用:研究費を本来の用途以外に使用すること、虚偽の請求により研究費を使用すること、その他法令等に違反して研究費を使用すること、及び法人の規程に違反して研究費を使用すること、又は研究費の使用にあたって必要な手続を欠く等の不適切な使用等
⑤ ①から④に定める不正行為のほか、研究活動上の不適切な行為であって、科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの 
2 不正行為の証拠隠滅及び立証妨害は、前項第4号の特定不正行為に含むものとする。
3 研究インテグリティとは、研究の健全性・公正性のことをいう。研究インテグリティ・ マネジメントとは、産学連携活動に伴う利益相反・責務相反リスク管理、安全保障輸出管理等の研究遂行に係る法令及び学内規則の遵守に加えて、外国機関・大学との交流に伴う 利益相反・責務相反リスク等を適切に管理することで、研究の健全性・公正性を確保することをいう。
(研究者等の責務) 
第3条 研究者等は、研究活動上の不正行為やその他の不適切な行為を行ってはならず、また、他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2 研究者等は、研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修又は科目等を受講しなければならない。
3 研究者等は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、実験・観察記録ノート、実験データその他の研究資料等を10年間、適切に保存・管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。また、実験ために用いた全ての試料・試薬・標本・装置を5年間、保存・管理しなければならない。この場合において、保存が本質的に困難なものや、保存に多大なコストがかかるものについてはこの限りではない。
4 研究者等は、自らの研究活動の透明性を確保し、説明責任を果たすため、必要な情報について所属機関等に開示しなければならない。
 
第2章 不正防止のための体制 
(不正行為の防止体制)
第4条 法人は、研究者等による不正行為の防止並びに研究インテグリティ・マネジメントを行うため、最高責任者、統括責任者、事務責任者及び研究倫理教育責任者を置く。
2 最高責任者は、理事長とし、研究倫理の向上及び不正行為の防止並びに研究インテグリティ・マネジメント等に関し、法人全体の最終責任を有する者として、第5条第6項の報告に基づき、公正な研究活動を推進するために適切な措置を講じるものとする。
3 統括責任者は、金沢星稜大学長とし、最高責任者を補佐するとともに法人全体の研究倫理の向上及び不正行為の防止並びに研究インテグリティ・マネジメントに関する実質的な責任と権限を有する者として、法人全体の具体的な対策を策定・実施し、実施状況等を最高責任者に報告する。
4 事務責任者は、統括責任者が指名する者とし、研究活動、公的研究費及び研究インテグリティ・マネジメントの事務を担当する各部局を統括し、事務手続上の権限を有する者として、公正な研究活動を推進する。
5 研究倫理教育責任者は、金沢星稜大学副学長(研究担当)とし、研究活動の不正行為の未然の防止並びに研究インテグリティの確保のため、研究者等に対し研究倫理教育を実施する責任と権限を有する者として、研究者倫理に関する教育を定期的に実施し、受講状況を管理監督する。
(不正防止委員会) 
第5条 法人は、特定不正行為及び不正使用の防止並びに研究インテグリティを確保するため、不正防止委員会を設置する。 
2 不正防止委員会は、次の各号に掲げる委員をもって構成し、統括責任者が委員長となる。
(1)統括責任者
(2)事務責任者 
(3)研究倫理教育責任者
(4)経営管理部長
(5)法人が設置する学校の長(金沢星稜大学長を除く。)
(6)委員長が必要と認めた者
3 委員長は、不正防止委員会の業務を統括する。 
4 第2項第6号の委員長が必要と認めた者には、法人に属さず、かつ利害関係のない第三者を委員として含めなければならない。
5 不正防止委員会は、次の各号に掲げる事項を行う。 
(1)特定不正行為及び不正使用が発生する要因の改善策とその行動規範の策定に関すること 
(2)特定不正行為及び不正使用防止計画の策定に関すること 
(3)研究倫理についてのコンプライアンス教育の企画・実施に関すること 
(4)研究者の特定不正行為及び不正使用の調査に関すること 
(5)研究インテグリティ・マネジメントにかかる体制の整備、規程等の制定と改廃、調査、研究者への要請、研修や情報提供等による理解醸成に関すること
(6)その他研究倫理の遵守と研究インテグリティの確保に関すること
6 委員長は、不正防止委員会の審議結果等決定事項について、最高責任者に報告するものとする。
7 不正防止委員会の事務は、金沢星稜大学総合研究所(以下「総合研究所」という。)が行う。
 
第3章 告発の受付 
(告発の受付窓口) 
第6条 告発又は相談への迅速かつ適切な対応並びに研究インテグリティの確保に関する相談又は報告の対応を行うため、総合研究所に受付窓口を置くものとする(以下「告発窓口」という。)。
2 前項の告発窓口の責任者は、総合研究所の所長をもって充てる。
3 告発窓口の責任者は、相談又は報告を受け付けた場合は、必要に応じて事務責任者及び法人の危機管理室に報告するものとする。
(告発の受付体制) 
第7条 研究活動上の不正行為の疑いがあると思料する者は、何人も、書面、ファクシミリ、電子メール、電話又は面談により、告発窓口に対して告発を行うことができる。 
2 告発は、原則として、顕名により、研究活動上の不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、研究活動上の不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されていなければならない。 
3 告発窓口の責任者は、匿名による告発について、必要と認める場合には、統括責任者と協議の上、これを受け付けることができる。
4 告発窓口の責任者は、告発を受け付けたときは、速やかに、統括責任者に報告するものとする。統括責任者は、当該告発に関係する部局等責任者に、その内容を通知するものとする。
5 告発窓口の責任者は、告発が郵便による場合など、当該告発が受け付けられたかどうかについて告発者が知り得ない場合には、告発が匿名による場合を除き、告発者に受け付けた旨を通知するものとする。
6 新聞等の報道機関、研究者コミュニティ又はインターネット等により、不正行為の疑いが指摘された場合(研究活動上の不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、研究活動上の不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されている場合に限る。)は、統括責任者は、これを匿名の告発に準じて取り扱うことができる。
(告発の相談) 
第8条 研究活動上の不正行為の疑いがあると思料する者で、告発の是非や手続について疑問がある者は、告発窓口に対して相談をすることができる。
2 告発の意思を明示しない相談があったときは、告発窓口は、その内容を確認して相当の理由があると認めたときは、相談者に対して告発の意思の有無を確認するものとする。 
3 相談の内容が、研究活動上の不正行為が行われようとしている、又は研究活動上の不正行為を求められている等であるときは、告発窓口の責任者は、統括責任者に報告するものとする。
4 第3項の報告があったときは、統括責任者は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。
(告発窓口の職員の義務) 
第9条 告発の受付に当たっては、告発窓口の職員は、告発者及び被告発者の秘密の遵守その他告発者及び被告発者の保護を徹底しなければならない。 
2 告発窓口の職員は、告発を受け付けるに際し、面談による場合は個室にて実施し、書面、ファクシミリ、電子メール、電話等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないような措置を講ずるなど、適切な方法で実施しなければならない。 
3 前2項の規定は、告発の相談についても準用する。 
 
第4章 関係者の取扱い
(秘密保護義務)
第10条 この規程に定める業務に携わる全ての者は、業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。職員等でなくなった後も、同様とする。
2 統括責任者は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に漏洩しないよう、これらの秘密の保持を徹底しなければならない。
3 統括責任者は、当該告発に係る事案が外部に漏洩した場合は、告発者及び被告発者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事案について公に説明することができる。ただし、告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により漏洩したときは、当該者の了解は不要とする。
4 統括責任者又はその他の関係者は、告発者、被告発者、調査協力者又は関係者に連絡又は通知をするときは、告発者、被告発者、調査協力者及び関係者等の人権、名誉及びプライバシー等を侵害することのないように、配慮しなければならない。
(告発者の保護) 
第11条 法人は、告発をしたことを理由とする当該告発者の職場環境の悪化や差別待遇が起きないようにするために、適切な措置を講じなければならない。 
2 法人に所属する全ての者は、告発をしたことを理由として、当該告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。 
3 法人は、告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、就業規則その他関係諸規程に従って、その者に対して処分を課すことができる。
4 法人は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に当該告発者に対して解雇、配置換え、懲戒処分、降格、減給その他当該告発者に不利益な措置等を行ってはならない。
(被告発者の保護) 
第12条 法人に所属する全ての者は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。 
2 法人は、相当な理由なしに、被告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、就業規則その他関係諸規程に従って、その者に対して処分を課すことができる。 
3 法人は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者の研究活動の全面的な禁止、解雇、配置換え、懲戒処分、降格、減給その他当該被告発者に不利益な措置等を行ってはならない。
(悪意に基づく告発) 
第13条 何人も、悪意に基づく告発を行ってはならない。本規程において、悪意に基づく告発とは、被告発者を陥れるため又は被告発者の研究を妨害するため等、専ら被告発者に何らかの不利益を与えること又は被告発者が所属する組織等に不利益を与えることを目的とする告発をいう。 
2 法人は、悪意に基づく告発であったことが判明した場合は、当該告発者の氏名の公表、懲戒処分、刑事告発その他必要な措置を講じることができる。
3 統括責任者は、前項の処分が課されたときは、該当する資金配分機関及び関係省庁に対して、その措置の内容等を通知する。
 
第5章 事案の調査
(予備調査の実施) 
第14条 第7条に基づく告発があった場合又は法人がその他の理由により予備調査が必要であると認めた場合は、不正防止委員会委員長は、金沢星稜大学(以下「大学」という。)及び金沢星稜大学女子短期大学部(以下「短期大学部」という。)にかかる告発等にあっては金沢星稜大学及び金沢星稜大学女子短期大学部研究倫理委員会(以下「研究倫理委員会」という。)、法人が設置する大学及び短期大学部以外の学校及び法人各部にかかる告発等にあっては予備調査委員会を設置し、研究倫理委員会、予備調査委員会は速やかに予備調査を実施しなければならない。 
2 前項の予備調査委員会は、3名の委員によって構成するものとし、不正防止委員長が不正防止委員会の議を経て指名する。
3 研究倫理委員会及び予備調査委員会は、必要に応じて、予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4 研究倫理委員会及び予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る関係書類、研究ノート、実験資料等を保全する措置をとることができる。
(予備調査の方法) 
第15条 研究倫理委員会及び予備調査委員会は、告発された行為が行われた可能性、告発の際に示された科学的理由の論理性、告発内容の本調査における調査可能性、その他必要と認める事項について、予備調査を行う。 
2 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は、取下げに至った経緯及び事情を含め、研究上の不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。
(本調査の決定等)
第16条 研究倫理委員会及び予備調査委員会は、告発を受け付けた日又は予備調査の指示を受けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を不正防止委員会委員長に報告する。 
2 不正防止委員会委員長は、予備調査結果を踏まえ、速やかに、本調査を行うか否かを決定する。
3 不正防止委員会委員長は、本調査を実施することを決定したときは、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。
4 不正防止委員会委員長は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して告発者に通知する。この場合には、資金配分機関又は関係省庁や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保存するものとする。
5 事務責任者は、本調査を実施することを決定したときは、当該事案に係る研究費の資金配分機関及び関係省庁に、本調査を行う旨を報告するものとする。
(不正調査委員会の設置) 
第17条 不正防止委員会委員長は、本調査を実施することを決定したときは、速やかに、不正調査委員会を設置する。 
2 不正調査委員会の委員の半数以上は、法人に属さない外部有識者でなければならない。また、全ての調査委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
3 不正調査委員会は、次の各号に掲げる委員をもって構成し、第1号の金沢星稜大学副学長が委員長となる。
(1)不正防止委員会委員長が指名する金沢星稜大学副学長 1名
(2)不正防止委員会委員長が指名する研究分野の知見を有する法人の教職員 若干名
(3)法律の知識を有する外部有識者 1名以上
(4)当該分野の専門知識を有する外部有識者 1名以上
(本調査の通知) 
第18条 不正防止委員会委員長は、不正調査委員会を設置したときは、不正調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知する。 
2 前項の通知を受けた告発者又は被告発者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により、不正調査委員会委員長に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3 不正防止委員会委員長は、前項の異議申立てがあった場合は、当該異議申立ての内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員会委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び被告発者に通知する。 
(本調査の実施) 
第19条 不正調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始するものとする。 
2 不正調査委員会は、告発者及び被告発者に対し、直ちに、本調査を行うことを通知し、調査への協力を求めるものとする。 
3 不正調査委員会は、告発において指摘された当該研究に係る論文、実験・観察ノート、生データその他資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により、本調査を行うものとする。
4 不正調査委員会は、被告発者による弁明の機会を設けなければならない。
5 不正調査委員会は、被告発者に対し、再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また、被告発者から再実験等の申し出があり、調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障するものとする。
6 告発者、被告発者及びその他当該告発に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し、真実を忠実に述べるなど、不正調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。
(本調査の対象) 
第20条 本調査の対象は、告発された事案に係る研究活動の他、調査委員会の判断により、本調査に関連した被告発者の他の研究を含めることができる。
(証拠の保全) 
第21条 不正調査委員会は、本調査を実施するに当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。 
2 告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が法人でないときは、不正調査委員会は、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるよう、当該研究機関に依頼するものとする。
3 不正調査委員会は、前2項の措置に必要な場合を除き、被告発者の研究活動を制限してはならない。
(本調査の中間報告)
第22条 不正防止委員会委員長は、本調査の終了前であっても、告発された事案に係る研究活動の予算の配分又は措置をした資金配分機関又は関係省庁の求めに応じ、本調査の中間報告を当該資金配分機関及び関係省庁に提出するものとする。                  
(調査における研究又は技術上の情報の保護) 
第23条 不正調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう、十分配慮するものとする。
(不正行為の疑惑への説明責任)
第24条 不正調査委員会の本調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続に則って行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の場合において、再実験等を必要とするときは、第19条第5項の定める保障を与えなければならない。 
 
第6章 不正行為等の認定 
(認定の手続) 
第25条 不正調査委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容をまとめ、不正行為が行われたか否か、不正行為と認定された場合はその内容及び悪質性、不正行為に関与した者とその関与の度合、不正行為と認定された研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割、その他必要な事項を認定する。
2 前項に掲げる期間につき、150日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定の予定日を付して不正防止委員会委員長に申し出て、その承認を得るものとする。 
3 不正調査委員会は、不正行為が行われなかったと認定される場合において、調査を通じて告発が悪意に基づくものであると判断したときは、併せて、その旨の認定を行うものとする。
4 前項の認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなければならない。
5 不正調査委員会は、本条第1項及び第3項に定める認定が終了したときは、直ちに不正防止委員会委員長に報告しなければならない。
(認定の方法) 
第26条 不正調査委員会は、被害告発者及び必要に応じ告発者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言、被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、不正行為か否かの認定を行うものとする。 
2 不正調査委員会は、被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。 
3 不正調査委員会は、被告発者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。保存義務期間の範囲に属する生データ、実験・観察ノート、実験試料・試薬及び関係書類等の不存在等、本来存在するべき基本的な要素が不足していることにより、被告発者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。
(調査結果の通知及び報告) 
第27条 不正防止委員会委員長は、速やかに、調査結果(認定を含む。)を告発者、被告発者及び被告発者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。被告発者が法人以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。
2 不正防止委員会委員長は、前項の通知に加えて、調査結果を当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告するものとする。
3 不正防止委員会委員長は、悪意に基づく告発との認定があった場合において、告発者が法人以外の機関に所属しているときは、当該所属機関にも通知するものとする。
(不服申立て) 
第28条 研究活動上の不正行為が行われたものと認定された被告発者は、通知を受けた日から起算して14日以内に、不正防止委員会委員長に対して不服申立てをすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2 告発が悪意に基づくものと認定された告発者(被告発者の不服申立ての審議の段階で悪意に基づく告発と認定された者を含む。)は、その認定について、第1項の例により、不服申立てをすることができる。
3 不服申立ての審査は、不正調査委員会が行う。不正防止委員会委員長は、新たに専門性を要する判断が必要となる場合は、不正調査委員の交代若しくは追加、又は不正調査委員会に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし、不正調査委員会の構成の変更等を行う相当の理由がないと認めるときは、この限りでない。
4 前項に定める新たな不正調査委員は、第17条第2項及び第3項に準じて指名するとともに、第18条各項に準じた手続を行う。
5 不正調査委員会は、当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、直ちに、不正防止委員会委員長に報告する。報告を受けた不正防止委員会委員長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。その際、その不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと不正調査委員会が判断した場合は、以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知するものとする。
6 不正調査委員会は、不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合には、直ちに、不正防止委員会委員長に報告する。報告を受けた正防止委員会委員長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
7 不正防止委員会委員長は、被告発者から不服申立てがあったときは告発者に対して通知し、告発者から不服申立てがあったときは被告発者に対して通知するものとする。また、その事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知する。不服申立ての却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。
(再調査) 
第29条 前条に基づく不服申立てについて、再調査を実施する決定をした場合には、不正調査委員会は、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求め、その他当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。
2 前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には、不正調査委員会は、再調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。その場合には、不正調査委員会は、直ちに不正防止委員会委員長に報告する。報告を受けた不正防止委員会委員長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
3 不正調査委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して50日以内に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに不正防止委員会委員長に報告するものとする。ただし50日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合は、その理由及び決定予定日を付して不正防止委員会委員長に申し出て、その承認を得るものとする。
4 不正防止委員会委員長は、本条第2項又は第3項の報告に基づき、速やかに、再調査の結果を告発者、被告発者及び被告発者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。被告発者及び被告発者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者が法人以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。また、当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告する。
 (調査結果の公表)
第30条 不正防止委員会委員長は、研究活動上の不正行為が行われたとの認定がなされた場合には、速やかに、調査結果を公表するものとする。
2 前項の公表における公表内容は、研究活動上の不正行為に関与した者の氏名・所属、研究活動上の不正行為の内容、法人が公表時までに行った措置の内容、不正調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を含むものとする。
3 前項の規定にかかわらず、研究活動上の不正行為があったと認定された論文等が、告発がなされる前に取り下げられていたときは、当該不正行為に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。
4 研究活動上の不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には、調査結果を公表しないことができる。ただし、被告発者の名誉を回復する必要があると認められる場合、調査事案が外部に漏洩していた場合又は論文等に故意若しくは研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表するものとする。
5 前項ただし書きの公表における公表内容は、研究活動上の不正行為がなかったこと、論文等に故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものではない誤りがあったこと、被告発者の氏名・所属、不正調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を含むものとする。
6 不正防止委員会委員長は、悪意に基づく告発が行われたとの認定がなされた場合には、告発者の氏名・所属、悪意に基づく告発と認定した理由、不正調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を公表する。
 
第7章 措置及び処分
(本調査中における一時的措置) 
第31条 統括責任者は、本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、被告発者に対して告発された研究費の一時的な支出停止等の必要な措置を講じることができる。
2 統括責任者は、資金配分機関又は関係機関から、被告発者の該当する研究費の支出停止等を命じられた場合には、それに応じた措置を講じるものとする。
(研究費の使用中止) 
第32条 統括責任者は、研究活動上の不正行為に関与したと認定された者、研究活動上の不正行為が認定された論文等の内容に重大な責任を負う者として認定された者及び研究費の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して、直ちに研究費の使用中止を命ずるものとする。
(論文等の取下げ等の勧告) 
第33条 統括責任者は、被認定者に対して、研究活動上の不正行為と認定された論文等の取下げ、訂正又はその他の措置を勧告するものとする。
2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を統括責任者に行わなければならない。
3 統括責任者は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表するものとする。
(措置の解除等) 
第34条 統括責任者は、研究活動上の不正行為が行われなかったものと認定された場合は、本調査に際してとった研究費の支出停止等の措置を解除するものとする。また、証拠保全の措置については、不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後、速やかに解除する。
2 統括責任者は、研究活動上の不正行為を行わなかったと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講じるものとする。
(処 分) 
第35条 法人は、本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合は、被認定者に対して、法令、就業規則その他関係諸規程に従って、次の各号に掲げる処分を課すものとする。
(1)当該年度に公的研究費をもって行っている全ての研究活動の停止 
(2)当該年度の全ての公的研究費の返還(ただし、複数年度にまたがる採択の場合は、当該不正行為が行われた年度以降のものを含む。)
(3)公的研究費の停止1年間 
(4)特定不正行為又は不正使用と認定された研究活動に係る研究成果を掲載する論文掲載機関等への通知並びに必要な措置の要請
(5)学校法人稲置学園就業規則に基づく処分
2 法人以外の機関等から支出される公的研究費に関し不正行為が認められたときは、当該公的研究費を配分する機関が定める罰則等について、前項の措置に加えて適用するものとする。 
3 統括責任者は、前2項の処分が課されたときは、該当する資金配分機関及び関係省庁に対して、その処分の内容等を通知する。 
(措置及び処分に対する不服申立て) 
第36条 第31条から第33条及び第35条により措置及び処分を受けた者は、当該措置等の内容に対し不服がある場合、法人に対し不服申立てを行うことができる。 
2 法人が、前項の不服申立てを受理した場合は、理事長は法人理事会(以下「理事会」という。)に対し当該措置等の内容の審査を求めることができる。
3 理事会が、理事長が行った措置等が適切でないと判断したときは、理事長に対しその旨通知し、その修正を求めることができる。
4 理事会が、理事長が行った措置等が適切であると判断したときは、理事長に対しその旨通知する。
5 第1項により不服申立てを行った者は、第3項又は第4項の決定内容に対する再度の不服申立てを行うことはできないものとする。
(是正措置等) 
第37条 本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合には、最高責任者は、必要に応じて、速やかに是正措置、再発防止措置、その他必要な環境整備措置(以下「是正措置等」という。)をとるものとする。 
2 事務責任者は、関係する部局責任者に対し、是正措置等をとることを命ずることができる。
3 最高責任者は、第1項及び第2項に基づいてとった是正措置等の内容を該当する資金配分機関及び関係省庁に対して報告するものとする。 
 
第8章 コンプライアンス教育
(コンプライアンス教育)
第38条 研究倫理教育責任者は、法人全体での不正行為防止のため、構成員に対し、次の各号に掲げるコンプライアンス教育を行わなければならない。
(1)研究倫理に関する基本的な問題
(2)研究者の行動規範
(3)特定不正行為及び不正使用の具体的内容
(4)日常的な研究活動
(5)公的機関発行の視聴覚資料又は図書資料の閲覧
2 研究倫理教育責任者は、新たに法人の職員又は受託研究、共同研究により法人において研究を行うこととなった研究者に対し、前項のコンプライアンス教育を行わなければならない。
3 研究倫理教育責任者は、研究インテグリティを確保するために、研修や情報提供等を行い、構成員の研究インテグリティに関する理解醸成を図らなければならない。
(受講状況の確認) 
第39条 研究倫理教育責任者は、前条の受講対象者のコンプライアンス教育受講状況を、常に把握しておかなければならない。
(モニタリング)  
第40条 統括責任者は、法人各部局の構成員等が研究倫理教育責任者が行ったコンプライアンス教育を受講し十分な理解の上で研究活動を行っているか等をモニタリングし、必要に応じ再受講を促すなど改善を指導しなければならない。
2 
第9章 雑 則
(公的研究費の執行管理)
第41条 公的研究費の執行に関しては、この規程に定めるもののほか、学校法人稲置学園研究活動補助費規程及び研究活動補助費取扱要領を準用するものとする。
2 公的研究費購入した物品等は、法人に帰属する。
(取引業者) 
第42条 法人と取引する業者が不正使用に関与した場合は、文部科学省所管における物品購入等契約に係る取引停止等の取扱要領に基づいて措置を行うものとする。
(事務担当) 
第43条 公的研究費に係る事務は、事務責任者のもと総合研究所が担当し、学校法人稲置学園事務組織及び事務分掌規程に定める事務のほか、次の各号に掲げる業務を行う。 
(1)交付内定を受けた公的研究費の交付申請等に関する業務
(2)公的研究費の予算執行に関する管理運営業務
(3)公的研究費に関する法人以外の機関からの窓口業務
(4)コンプライアンス教育に関する業務
(5)研究者に対する公的研究費の使用に関する助言及び規程等の周知
(6)特定不正行為及び不正使用防止のための措置に関する業務
(7)第6条の規定による告発等受付窓口業務並びに研究インテグリティ確保の相談窓口業務
(8)不正防止委員会に関する業務
(9) その他この規程の運用に係る業務
(誓約書) 
第44条 研究者等は、公的研究費のうち文部科学省その他の省庁又は独立法人等から配分される競争的資金等による研究活動に関与しようとする場合、法人に対し、次の各号に掲げる事項の順守を誓約する誓約書を提出しなければならない。
(1)法人の規程等を遵守すること
(2)特定不正行為及び不正使用を行わないこと
(3)前号に反したときは、法人又は競争的資金の配分機関の処分及び法的責任を負うこと
(雑 則) 
第45条 この規程に定めるもののほか、この規程の運用に関し必要な事項は、不正防止委員会の議を経て理事長が定める。  
(規程の改廃) 
第46条 この規程の改廃は、理事会の議を経なければならない。
 
付 則 
1 この規程は、平成27年7月24日に制定し、平成27年4月1日に遡及して施行する。
2 学校法人稲置学園公的研究費取扱規程(平成22年7月23日制定・施行)は廃止する。
付 則 
この規程は、平成28年4月22日に事務組織変更に伴い一部改正し、平成28年4月1日に遡り施行する。 
付 則 
この規程は、平成29年2月24日に特定不正行為・不正使用の告発、研究データ等の保存・開示及び調査の実施等を改正、追加し、平成29年2月24日から施行する。 
付 則 
この規程は、平成31年4月26日に事務組織変更に伴い一部改正し、平成31年4月1日に遡り施行する。 
付 則
この規程は、令和4年3月31日に事務組織変更に伴い一部改正し、令和4年4月1日から施行する。  
付 則
 この規程は、令和6年9月27日に研究インテグリティの確保等に関する事項を規定し、令和6年9月27日から施行する。
付 則 
この規程は、令和7年1月31日に名称を改めるほか研究者の責務並びに予備調査、本調査及び不服申立ての手続等に関する事項を全部改正し、令和7年1月31日から施行する。