学校法人 稲置学園 規程集(短期大学)

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金沢星稜大学女子短期大学部における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領
(目的)
第1条 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第8条の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定)に即して、金沢星稜大学女子短期大学部(以下「本学」という。)の教職員(非常勤職員を含む。以下「教職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この対応要領において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 障がい者 法第2条第1号に規定する障害者、即ち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、本学における教育及び研究、その他本学が行う活動全般において、そこに参加する者全てとする。
二 社会的障壁 障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(障がいを理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方)
第3条 この対応要領において、不当な差別的取扱いとは、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、教育及び研究、その他本学が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、又は障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障がい者の権利利益を侵害することをいう。また、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障がいを理由とする不当な差別的取扱いに該当する。なお、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。
2 前項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障がい者、第三者の権利利益及び本学の教育及び研究、その他本学が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際、教職員と障がい者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。
3 この対応要領において、合理的配慮とは、障がい者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。
4 前項の過重な負担については、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、教職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障がい者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際には、教職員と障がい者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めて柔軟に対応を検討することが求められる。
一 教育及び研究、その他本学が行う活動への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか否か)
二 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
三 費用・負担の程度
四 本学の規模、財政・財務状況
(障がいを理由とする差別の解消に関する推進体制)
第4条 本学における障がいを理由とする差別の解消の推進(以下「障がい者差別解消の推進」という。)に関する体制は、以下の各号のとおりとする。
一 最高管理責任者 学長をもって充て、障がい者差別解消の推進及びそのための環境整備等(施設等のバリアフリー化の促進、必要な人材の配置、障がいのある入学希望者や学内の障がいのある学生等に対する受入れ姿勢・方針の明示、情報アクセシビリティの向上等)に関し、本学全体を統括し、総括監督責任者及び監督責任者が適切に障がい者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに、最終責任を負うものとする
二 総括監督責任者 学生支援センター長をもって充て、最高管理責任者を補佐するとともに、教職員に対する研修・啓発の実施等、本学全体における障がい者差別解消の推進に関し必要な措置を講ずるものとする
三 監督責任者 部局長(副学長、及び局長)をもって充て、当該部局における障がい者差別解消の推進に関し責任を有するとともに、当該部局における監督者を指定し、当該部局における障がい者差別解消の推進に必要な措置を講ずるものとする
四 監督者 監督責任者の指定する者(学科長、及び課長)をもって充て、監督責任者を補佐するとともに、次条に規定する責務を果たすものとする
(監督者の責務)
第5条 監督者は、障がい者差別解消の推進のため、次の各号に掲げる事項に注意して障がい者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し、また障がい者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。
一 日常の業務を通じた指導等により、障がいを理由とする差別の解消に関し、監督する教職員の注意を喚起し、障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること
二 障がい者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること
三 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること
2 監督者は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、監督責任者に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(不当な差別的取扱いの禁止)
第6条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。
2 教職員は、前項に当たり、別紙に留意するものとする。
(合理的配慮の提供)
第7条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をしなければならない。特に障がいのある女性に対しては、障がいに加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。また、障がいのある性的マイノリティについても同様に留意する。なお、多数の障がい者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障がい者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことも有効である。
2 前項の意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び障がいの特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障がい者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。
3 教職員は、前二項の合理的配慮の提供を行うに当たり、別紙に留意するものとする。
(相談体制の整備)
第8条 障がい者及びその家族その他の関係者からの障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応じるための相談窓口は、下記のとおりとする。
学生支援センター
一 アクセシビリティ支援室
二 学生相談室
三 保健室
2 合理的配慮の提供にかかる過程を掌握し、提供方法を検討する委員会は、学生支援センター運営委員会(以下「運営委員会」という。)とする。運営委員会が検討した配慮内容は、最高管理責任者、総括監督責任者、監督責任者及び監督者で協議し決定する。
3 合理的配慮の提供は、障がい者が所属する学部・学科、授業等の担当教員、その他の関係部署等、全学の教職員が連携し、協力体制のもとで行う。
(教職員への研修・啓発)
第9条 本学における障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、教職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。
(服務上の措置)
第10条 教職員が、障がい者に対して不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合、学校法人稲置学園就業規則に則り対応するものとする。
(改廃)
第11条 この対応要領の改廃は、短期大学部教授会の議を経て学長が行う。
附 則
この対応要領は、令和6年4月10日に制定し、令和6年4月1日から施行する。
 
別紙
 
障がいを理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領における留意事項 
 
 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応要領第6条及び第7条に定める留意事項は、以下のとおりとする。
 
第1 不当な差別的取扱いに関する例(第6条関係)
 
 対応要領第3条第1項及び第2項のとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は、次のとおりである。
 なお、ここに記載する内容はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意すること。
 
(正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例)
 (以下、例示)
○ 障がいがあることを理由に受験を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に入学を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に授業受講を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に研究指導を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に実習、研修、フィールドワーク等への参加を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に事務窓口等での対応順序を劣後させること
○ 障がいがあることを理由に式典、行事、説明会、シンポジウムへの出席を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に学生寮への入居を拒否すること
○ 障がいがあることを理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否すること
○ 手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイクなどの情報保障手段を用意できないからという理由で、障がいのある学生等の授業受講や研修、講習、実習等への参加を拒否すること
○ 試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること
○ 障がいの種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、一律にあるいは漠然とした安全上の問題を理由に学内の施設利用を拒否又は制限すること
 
(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)
 (以下、例示)
○ 実習において、アレルゲンとなる材料を使用するなど、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障がい者に対し、アレルゲンとならない材料に代替し、別の部屋で実習を設定すること
 
第2 合理的配慮に関する例(第7条関係)
 
 合理的配慮は、不特定多数の障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は、対応要領第3条第3項及び第4項のとおり、障がい特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要があるが、例としては、次に掲げるとおりである。
 なお、これらの例はあくまでも例示であり、ここに記載する例以外であっても合理的配慮に該当するものがあること、また、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意すること。
 
(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の例)
 (以下、例示)
○ 車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと
○ 図書館やコンピュータ室、実験・実習室等の施設・設備を、他の学生等と同様に利用できるように改善すること
○ 移動に困難のある学生等のために普段よく利用する教室に近い位置に駐車場を確保すること
○ 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり、図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること
○ 障がい特性により、授業中、頻回に離席の必要がある学生等について、座席位置を出入口の付近に確保すること
○ 移動に困難のある学生等が参加している授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更すること
○ 易疲労状態の障がい者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めること
○ 視覚障がい者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内すること、その際、同性の教職員がいる場合は、障がい者本人の希望に応じて同性の職員が案内すること
 
(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の例)
 (以下、例示)
○ 授業や実習、研修、行事等のさまざまな機会において、手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイク、補聴システムなどの情報保障を行うこと
○ ことばの聞き取りや理解・発声・発語等に困難を示す学生等のために、必要なコミュニケーション上の配慮を行うこと
○ シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう、学生等の要望に応じて電子ファイルや拡大資料等を提供すること
○ 聞き取りに困難のある学生等が受講している授業で、ビデオ等の視聴覚教材に字幕を付与して用いること
○ 授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与えること
○ 事務手続きの際に、教職員や支援学生が必要書類の代筆を行うこと
○ 障がいのある学生等で、視覚情報が優位な者に対し、授業内での指示や事務的な手続き・申請の手順を文字やイラスト等で視覚的に明示し、わかりやすく伝えること
○ 間接的・抽象的な表現が伝わりにくい場合に、より直接的・論理的な表現を使って説明すること
○ 授業中のディスカッションに参加しにくい場合に、発言しやすいような配慮をしたり、テキストベースでの意見表明を認めたりすること
○ 入学者選抜や定期試験において注意事項や指示を、口頭で伝えるだけでなく文書や黒板に書いて示すなど、視覚的な情報として伝達すること
 
(ルール・慣行の柔軟な変更の例)
 (以下、例示)
○ 入学者選抜や定期試験において、個々の学生等の障がい特性に応じて、試験時間を延長したり、別室受験や支援機器の利用、拡大文字の使用、休憩時間の調整等を認めたりすること
○ 成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討すること
○ 外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、介助者等の立ち入りを認めること
○ 学内行事や講演、講習、研修等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりすること
○ 移動に困難のある学生等に配慮し、車両乗降場所を教室の出入り口に近い場所へ変更すること
○ 保育実習・教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めること
○ 保育実習・教育実習等の実習授業において、事前に実習施設の見学を行うことや、通常よりも詳しいマニュアルを提供すること
○ 外国語のリスニングが難しい学生等について、リスニングが必須となる授業を他の形態の授業に代替すること
○ 実験・実習等において、障がい特性により指示の伝達や作業の補助等が必要となる場合に、特別にティーチングアシスタント等を配置すること
○ IC レコーダー等を用いた授業の録音を認めること
○ 授業中、ノートを取ることが難しい学生等に、板書を写真撮影することを認めること
○ 不随意運動等により特定の作業が難しい障がい者に対し、教職員や支援学生を配置して作業の補助を行うこと
○ 感覚過敏等がある学生等に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォン等の着用等を認めること
○ 障がい特性が原因と考えられる不調(体調や症状の悪化、混乱状態)で、レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに、期限の延長を認めること
○ 障がい特性に応じて教室内における座席の配慮を行うこと
○ 履修登録の際、機能障がいによる制約を受けにくい授業を確実に履修できるようにすること
○ 入学時のガイダンス等が集中する時期に、必要書類やスケジュールの確認などを個別に行うこと
○ 病気療養等で学習空白が生じる学生等に対して、ICT を活用した学習活動や補講を行う等、学習機会を確保できる方法を工夫すること
○ 授業出席に介助者が必要な場合には、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認めること
○ 視覚障がいや肢体不自由のある学生等の求めに応じて、事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認めること
 
 また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意する。
 
(合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例)
 (以下、例示)
○ 入学者選抜や定期試験等において、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること
○ 自由席で開講している授業において、弱視の学生等からスクリーンや板書等がよく見える席での受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せず、一律に「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること
○ 視覚障がい者が、点字ブロックの無いイベント会場内の移動に必要な支援を求める場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、参加や支援を断ること
○ 学生等が、支援者と共に更衣室を利用することを希望した場合に、空いている教室など代替施設を検討することなく、設備がないという理由で対応を断ること
 
(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例)
 (以下、例示)
○ オンライン授業の配信のみを行っている場合に、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた際、字幕や音声文字変換システムの利用など代替措置を検討したうえで、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備を有していないことを理由に、当該対応を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
○ 図書館等において、混雑時に視覚障がい者から職員等に対し、館内を付き添って利用の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、職員が聞き取った書籍等を準備することができる旨を提案すること(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点)
○ 発達障がい等の特性のある学生から、得意科目で習得した単位を不得意な科目の単位として認定してほしい(卒業要件を変更して単位認定をしてほしい)と要望された場合、不得意科目における環境調整や受講方法の調整などの支援策を提示しつつ、卒業要件を変更しての単位認定はディプロマ・ポリシーに照らし、教育の目的・内容・機能の本質的な変更にあたることから、当該対応を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
 
 さらに、環境の整備は、不特定多数の障がい者向けに事前的改善措置を行うものであるが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障がい者に対して個別の状況に応じて講じられる措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例は、次のとおりである。
 
(合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例)
 (以下、例示)
○ 障がい者差別解消の推進を図るための教職員への学内研修を実施(環境の整備)するとともに、教職員が、学生一人一人の障がいの状態等に応じた配慮を行うこと(合理的配慮)
○ エレベーターの設置といった学内施設のバリアフリー化を進める(環境の整備)とともに、肢体不自由のある学生等が、実験室等で実験実施の補助を必要とした際に、その補助を行うティーチングアシスタント等を提供すること(合理的配慮)
○ 障がい者から申込書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代筆の仕方について研修を行う(環境の整備)とともに、障がい者から代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら担当者が代筆すること(合理的配慮)
○ オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障がい者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮)とともに、以後、障がい者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと(環境の整備)
○ 講演会等で、情報保障の観点から、手話通訳者を配置したり、スクリーンへ文字情報を提示したりする(環境の整備)とともに、申し出があった際に、手話通訳者や文字情報が見えやすい位置に座席を設定すること(合理的配慮)